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フォークリフト災害事例
フォークリフトに関する災害事例を紹介します。話自体は実際に起こった災害事例をもとに脚色を加えたフィクションです。
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あの時、そこにいなければ....
私は、とある工場で出荷業務を担当していました。私の勤めていた会社では、大きなベニヤ板を作っていました。
その日、私はいつもと同じように出荷するベニヤ板の枚数を確認するため、工場の片隅に置かれた木材置き場まで歩いていました。
木材置き場まで、数メートルと近づいた時、木材置き場でフォークリフトを運転していた吉田さん(仮名)が大きな声でいいました。
*「今、作業中だから、後でしてくれる?」
時間も夕方近くになり、業務の慌ただしさで少し苛立っていた吉田さんは、フォークリフトを動かしながら、私にそう言うと、再びフォークリフトの運転に集中しました。
私は吉田さんの忠告を無視し、「もう直、定時で帰る時間だから、早く終わらせたい...。」という気持ちから、再び、木材置き場まで歩きだしました。
*「危ないから、後にしてくれ!」
私の存在に気が付いた吉田さんが再び、怒声をとばしました。その声にびっくりした私は、少し頭を下げると工場の隅まで移動し、吉田さんから死角になった位置から、木材置き場まで足早に移動しました。
記録用紙を片手に、1枚、2枚、3枚....とベニヤ板の数を数えていると、急に体ににぶい衝撃が走りました。
薄れゆく意識の中で遠くから聞こえる救急車のサイレンの音、大丈夫か!大丈夫か!という吉田さんの声。
....あの日から、1年がたち、私の前に吉田さんが現れました。
*「あの時は、本当にすまなかったな。さぞ痛かっただろうに。俺はてっきりお前が、事務所に戻ったとばかり思って、ロクに後方確認もしなかったから....こんなことに....。」
あの強気でぶっきらぼうな吉田さんの目に浮かぶ雫とともに、そっと置かれた線香を私はぼんやりとみつめていました。
思い出のままに
前略、加藤(仮名)さんへ。その後いかがお過ごしでしょうか。思えば早いもので、あの子が亡くなってからもう3年の月日が経ってしまいましたね。
あの子が高校をでてすぐに就職した会社が、加藤さんの加藤運輸倉庫(仮名)でした。はやくに父親を病気でなくし、女手ひとつで育ててきた苦労を知ってか知らずか、大学にも行かず働くといって、毎日、愚痴ひとつ言わず会社に通っていました。
ある時、あの子がつぶやいた一言が今も心に残っています。
*「僕もフォークリフトの免許を取らないといけないなぁ。お給料が貯まったら取りに行くよ。」
この言葉を聞いてから数日後にまさか、あの子が帰らぬ人になるとは思いもしませんでした。
事故の原因は、無免許でフォークリフトを運転したあの子にあります。加藤さんのお話では、パレットをフォークリフトで運んでおくようにと他の方へ伝言するようにと言ったようですね。
責任感からか、好奇心からか、なぜかあの子はフォークリフトを自分で運転してしまい、加藤さんにも多大なご迷惑をおかけする形になってしまい、申し訳なく思っています。
曲がり角を急旋回しようとして、転倒、頭部をヘッドガードのアングルに強打したことが原因による脳挫傷で、事故より4時間後にあの子は息を引き取りました。
先日、あの子の墓前で加藤さんが手を合わせているの見て、思わず筆をとりました。今でも私以外にあの子の冥福を祈ってくれているのがうれしく、とりとめのない文章になってしまいました。また、会える機会があれば直接、お礼をしたいと思います。加藤さんのこれからのご活躍、発展を心から願っています。
フォークリフトは車格のわりに重量があり、思わぬことで命をなくしてしまう重大な事故が起こります。フォークリフト免許を取得した際には、十分安全には気を付けて運転しましょう。
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